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犬に何かを「克服」させたい時に大切な事 その2


こんにちは。

D.I.N.G.O.インストラクターの池田です。

今回は、シュナウザーの男の子、マーレくんのお話です。

彼は外の環境から受ける刺激に弱く、特に犬に向かって大きな反応(吠え)を示す子です。

普段は早朝、刺激の少ない環境の中でのお散歩をしていらっしゃるそうで

このようなお散歩会で多数の犬と一緒に歩くことはなかったとのこと。

スタート時、車から降りた時点で大興奮、吠えたくさん。

パパさんもついつい慌ててしまいます。

前回のこむぎちゃんのお話で、「犬に無理をさせないことの大切さ」をお伝えしましたね。

彼にも同様、「無理なく、今できることはなにか」をまず探りました。

地面に降りている状態では興奮(好奇心含む)と不安で全然落ち着かず吠えてしまう彼でしたが

パパさんに抱っこをしてもらうとそれが少し緩和され、吠えずにいられることができました。

「じゃあ最初は一番後ろから、みんなの姿が見えない距離を保ってついてきてください」

「マーレくんが落ち着いているようでしたら下に降ろして歩かせてあげてください」

とお願いをしました。

お散歩会なのに、一緒に歩かないの?

そうです。現時点で犬がそれを受け入れられないならば。

また、

「すぐ抱っこをすると抱き癖がつかない?」

とか

「抱っこすると余計に強気になって吠えない?」

とか、

そう不安に思う方もいらっしゃるかと思いますが、

そもそも「抱き癖」というものがどういうものなのか、私にはその定義がよく分からないのと

抱っこをしてもらうことで犬がそれを安心と捉えるのであれば、その対応は正解だと考えます。

犬が安心だと思う場所、音、匂い、もの、状況───

それら安心材料はいくつも用意してあげておいた方が良いと考えています。

※「抱っこをしてもらっていないと安心できない」のは、ですからまた別問題のお話ですね。

 それが「抱き癖」と呼ばれるものなのかな?

また抱っこをすると余計に吠えてしまうのであれば、

それはその子にとって『良い材料』になっていないということ。

他の対応、対策を考えてあげたほうが良いでしょう。

しばらく歩いた先にある大きな広場では、

まず始めはみんなと十分に距離を取りながら周りを歩いてもらいました。

↑こちらはほかの参加者さんたち。

各々犬たちの好きなように歩いてくれています。

遠くからそれを落ち着いて見ていられるかどうか。

この姿勢は良いですね。

マーレくんが「落ち着いているかどうか」は彼の姿勢や仕草から判断していきます。

落ち着いているようであれば様子を見ながら距離を少しずつ縮めます。

手前はこむぎちゃん。

その後ろでこちらの様子を見ているマーレくんがいます。

(写真見づらくてごめんなさい)

その後スッと地面のにおいを嗅ぐマーレくん。

相手の犬を確認しながら匂い取りの仕草を出せるのは素敵ですね。

木の陰からこっそりと・・・

ここではパパさんに呼ばれて動きます。

人の声が聞こえる(頭に入る)状態でいられることも大事。

距離は変わっていないのですが、手前の犬たちが遊びだし、その興奮が影響したのか

戻ってきてこちらに少し吠えてしまいました。

ですのでパパさんは距離を取ってくれました。

見えるかな?笑

緑の丸印がマーレくんです。

でもここでもちょっと興奮気味。

さらに距離をとってくれました。

パパさんの素敵なご判断が素晴らしい!

そんな風にマーレくんの様子を見ながら距離を取ったり縮めたり・・・

おやつでの管理も上手にたくさんしてくださいました。

帰り道。

なんとみんなの真ん中で吠えずにいられています!

前方のプードルはこむぎちゃん。

彼女に近づくときに一瞬頭を下げるマーレくん。

こういう時はリードは緩めてあげてくださいね。

でないと、彼の言いたいこと、彼の言葉を妨げてしまいます。

顔を逸らすこともできていますね!

最初は皆の姿を見るだけでも吠えが止まらなかったマーレくん。

彼の負担をできるだけ取り除く形で臨んでもらった今回のお散歩会でしたが、

私も正直ここまで一気に輪の中に入ってくることができたのには驚きました。

犬にとっての大丈夫を見つけてあげ、環境を設定してあげるだけで

時として犬は思った以上の成果を発揮してくれることがあります。

ちなみにこちら手前の茶色のダックス、レオンくんも、

当初は「吠え」のお悩みでお教室に来てくださいました。

彼もまた、今回のお散歩会で大きく成長してくれましたね♪

苦手を克服してもらおうと、苦手なものを目の前にドン!と置き、「さあ頑張りなさい!」と、

犬に歯を食いしばらせて乗り越えさせようとするトレーニング方法があります。

今回のお散歩会でも、マーレくんがもっと繊細な子だったら、そうなっていた可能性もあります。

(もちろんその場合は申し訳ないですが途中棄権をお願いすることもあります)

できないことをやれ、と言われるのは、人間でも辛いもの。

それより、「愛犬が『今できること』をまず見つけてあげること」そして「それを伸ばしてあげること」

これを大事にしてほしいなぁと、何度も何度もお伝えしたいです。

同じことの繰り返しになりますが、「克服」とは、何かを頑張らせることではなく、 「『大丈夫』の範囲を広げること」。

これをどうか、お忘れなく!

今年前半のお散歩会は、来月で最後となりそうです。

またみんなでのんびりお散歩ができればいいなと思っています(^-^)

(補足?)

マーレくんにはこの後、家での取り組みについてのアドバイスも少しさせていただきました。

家の中で基礎練習ができるようになったら、それを違う場所でもできるよう般化してもらうこと。

また興奮を自身でコントロールできるような取り組みもお願いしました。

一見、吠えへの対処とは関係のないそうした回り道に思える取り組みが、

実は一直線に「吠えをおさえる」ことに繋がることもよくあります。

でもどんな取り組みでも「犬に無理をさせないこと」。

これはいつでもどこでも大切にしてくださいね♪

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